食は命の源|有機農業をつなぐ①

気高オーガニック倶楽部 梅実一夫さん・礼基さん

2022年6月某日。

ずっとお話を伺ってみたい!と思っていた、気高オーガニック倶楽部・梅実一夫(うめざねかずお)さんに会いに行ってきました。

農業を始めて今年で35年目を迎える梅実さん。

1988年(昭和63年)から無農薬・無化学肥料でお米作りを始め、有機JASの認定を受けたのは2001年から。

今までずっと米栽培のみでしたが、3年程前にご子息の梅実礼基(うめざねれいき)さんが就農されたことをきっかけに、小豆作りも加わりました。梅実さんが手がける農地の広さは約15ヘクタール(なんと東京ドーム約3個分!)。その内、小豆は年々栽培面積を増やし、現在は約2.5ヘクタールで栽培をされているそうです。

▲ 梅実礼基さん(左)・梅実一夫さん(右)

 

お米と小豆作りで新たな循環

 

小豆は、米作りの繁忙期と時期がずれるので作りやすく、作ってみて良かったことがたくさんありました。まずは、栽培環境があっていたこと。1年目からとても良い小豆が収穫でき、まさに適作でした。

そして、もうひとつは小豆を育てた後の土壌がものすごく良かったこと。通常、梅実さんの圃場(ほじょう:農作物を栽培するための場所のこと)では稲を作り終えた後、翌年のために有機肥料を入れますが、小豆を作り終えた後には、稲を育てるための有機肥料は必要ありませんでした。米作りと小豆作りで良い循環が生まれたのです。

▲米、小豆作りに関わる外での作業は、礼基さんが中心となって進められています。

 

全身全霊で立ち向かう、除草作業

 

圃場へお伺いした時期は、6月下旬。田植えが終わり、除草作業の真っ最中の時期でした。

「除草がその年の収穫物の成否を分けるといっても過言ではないんです。失敗すると、たちどころに収量、品質に影響が出るので、全身全霊で立ち向かいます。」

 

梅実一夫さんと礼基さん、もう一人の手を借り3名がかりで、田植え機の後ろに、除草用の機械をつけて、約50枚もの田んぼを一気に除草していきます。作業が終わると、最初からまた同じ作業を繰り返し、全部で三回ずつ行うというから、すごい労力です。

「土もデリケートですし、圃場によっては、深いところもあったりで…。草が取り切れてなかったら、途端に増殖してしまい貧弱な稲になってしまいます。そうなると良い米ができないため本当に大切な作業なんです。」

昔は、手で一つずつ抜いたりしたこともあるそうで、「今までの歴史からしても、やっぱり除草は重要ですね。」と梅実さん。

▲除草作業は真剣勝負。田植え機の後ろに除草専用の機械を付けて苗をつぶさないよう慎重に進めます。

 

当たり前のことを、当たり前に

 

「ただ、化学的な農薬も除草剤もない時代。みんな有機農業だったことを考えると、我々がやっていることは何も特別なことではない。当たり前のことを当たり前にやっているだけなんですよ。有機栽培米は、通常の米の収穫量に比べると、3分の2程度。昔はこのくらいの量が普通だったんだけどね。」としみじみ言われます。

 

密植すると病気になりやすくなるため、長年の経験により植える間隔を独自に調整されているそう。有機肥料も与えすぎず、品質の良い、美味しいお米を作るためにはどうしたら良いのか――。収穫量を増やすより、品質と美味しさに重点をおき、ずっとやってこられました。

 

最高峰の米を目指して

 

「私たちは、いつも最高峰の米を目指しています。安心はもちろん、味でも他に絶対ないよね、と感じていただけるようなものを作りたいんです。」

長いお付き合いのお客様ばかりで、信頼していただいているからこそ、その思いに応えたいと常々思っておられるそうです。

▲気高オーガニック倶楽部の有機米こしひかり。パッケージからも思いが伝わってきます。

 

自然の恵みを分ちあう、同士

 

梅実さんのお米には、「気高オーガニック倶楽部の有機米こしひかり」と名前がついています。

気高オーガニック倶楽部。その名前の由来をお伺いしたところ、

「生産者や消費者、食を楽しむ人はみんな、仲間。ありのままのおいしさを楽しむ、自然の恵みそのまま分かち合う、倶楽部の一員なんだという気持ちで名前を付けました。」

そして、

「私は、今まで人とのつながりをとっても大切にしてきました。それしかしてない程にね(笑)。孤独では農業はできないよ。」

同士や家族、お客様に支えられ、本当にありがたいと梅実さんはおっしゃいます。

 

「食は命の源」

梅実さんのお米からは、大切なメッセージが伝わってくるのでした。

 

#鳥取 育てる人

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ライターのコメント

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ライター

柳田 洋子

梅実さんは初対面にもかかわらず、とてもご親切に楽しくお話を聞かせてくださいました。お人柄を通じて、食に対しての誠実さが伝わってくるようでした。

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