美味しい『木の子』ができるまで|八頭・北村きのこ園①

北村きのこ園 北村大司さん・北村勇太さん

鳥取県東部に位置する、自然豊かなまち・八頭町の山々をかきわけるように進んでいくと、ひょっこり顔をだしたのは「きのこ直売所」の看板。とりのひとマルシェでもお取り扱いをさせていただいている、「八頭びっくりエリンギィ」「乾燥えのき」などの生産者、北村きのこ園さんを訪ねました。

私たちを出迎えてくださったのは、代表取締役の北村 大司(きたむら たいじ)さんと、北村 勇太(きたむら ゆうた)さんです。この日は実際にエリンギィを育てられている工場内をご案内いただきながら、きのこの栽培方法や美味しいきのこを作るためのこだわりなどをお話いただきました。

▲北村きのこ園の北村勇太さん(左)と、北村大司さん(右)。

こだわりのきのこ作り

北村きのこ園さんのきのこは、「食感が良く匂いが少ない」「きのこが苦手な方でも食べられる」と評判の、とっても美味しいきのこです。その美味しさの秘密についてお話を聞いていく中で、特に印象深かったのが、手間をいとわず「自然由来の素材」で栽培をしているということでした。

北村きのこ園さんがきのこを栽培する際、培地となる「菌床(きんしょう)」として主に使用されているのは、林業がとくに盛んな岡山県・真庭市から運ばれてきたおがくず。 鳥取県と同じ中国地方で産出されたものを使用しておられます。

そしてこのおがくずは、なんと2~3年間という長い時間をかけて、天地返しをしたり、スプリンクラーで川の水を振りまいたりして樹脂を落とすのだそう。その後、ふるいで樹皮などを除去し、ミキサーにかけて、やっときのこを生産するための菌床として使用できるようになるのです。

▲社屋の向かいに、山のように積み上げられたおがくず。

菌床として一般的に使われていてより利便性が高い素材もある中で、敢えて同じ地域で得た素材(おがくず)を使っていること、そして手間暇を惜しまず生産をされてることに、「この地で美味しいきのこを作るのだ!」という北村きのこ園さんの想いが伝わってくるようでした。

こうしてしっかりと時間をかけて準備が整ったおがくずに混合するのは、鳥取市用瀬町でつくられた竹炭をはじめ、米ぬか、ふすまなどの自然なものばかり。これらはきのこの菌糸が成長するためにとっても適した素材・養分なのだと言います。水も上水ではなく伏流水を使用されているとのことで、とことん自然由来で、この地の特性を生かした栽培をされておられるのです。

《 エリンギィの生産過程を見せていただきました!》

▲菌床となるおがくずなどを高温殺菌した後、菌糸が育つために瓶を入れておく培養室。室温は 22,23度に設定されています。数えきれないほどの瓶がずらっと並んでいました。
 
 

▲30~35日ほど経過すると菌糸が蔓延してくるそう。画像は培養室に寝かせて23日目の瓶の様子。キャップを外すと表面が白くもふもふしていました。
 

▲十分に菌糸が成長したら、次は18度の培養室に移動させます。温度変化を与えたり菌糸を酸素に触れさせることで、生殖成長を促すのだそう。ちいさなエリンギィがひょこひょこっと顔を出しています。
 
 

▲生育室は、14,15度と少し低めの温度。温度を下げることでじっくりと育ち、繊維がより密になるのだと言います。収穫時には、大きさはもちろん、傘の形や縁の薄さなどを見極めて収穫をされていました。
 

工場内を見学させていただくと、成長過程のきのこを段階ごとに部屋移動させたり、室温が細かに調整されていたりと、じっくりと時間をかけて大きく育ててておられる様子がより感じられました。

また、菌糸の成長度合いなどはベテラン社員さんでないと見極めが難しいそうで、たくさんの工夫と確かな技もまた美味しいきのこの秘密なのだと感じられました。

『木の子』であることの魅力

こうして育てられる北村きのこ園さんのきのこについて、「漢字で『木の子』と書くんです。」と北村さんは教えてくださいました。

木の粉(おがくず)というふかふかのベッドで、元気に大きく育った『木の子』たち。文字を見るだけで、大自然に囲まれた八頭町で、地元産・自然由来の素材を使い、スタッフの方々の手作業で大切に育てられたことが思い浮かぶような気がしますよね。

北村きのこ園さんの『木の子』の特徴は、食感が良く食べ応えがあること、きのこ特有のつーんとしたにおいが少ないこと、そして火を通した際の身減りが少ないことなど、盛りだくさん。

▲エリンギィが主役のきのこステーキ。一度はやってみたい贅沢メニュー!(画像提供:北村きのこ園)

また栄養価も高く、「ベタイン」というアミノ酸の仲間である成分が 一般に流通しているきのこの約1000倍も含まれているのだそう。この成分は肝機能を良くする効果があると言われているとのことで、健康を気遣う方にも嬉しい食材でもあるのです。

地元産の素材で育てることで、より美味しく栄養価の高い商品を作ることができる。この結び付きが、私はなんだかすごく心地よく、誇らしく感じられました。

続きはこちら→〈『木の子』の魅力を届ける|八頭・北村きのこ園②

 

#鳥取 #育てる人

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北村きのこ園 北村大司さん・北村勇太さん

北村きのこ園
〒680-0415
鳥取県八頭町八頭郡下野794

ホームページ
https://kinoko.co.jp/

ライターのコメント

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ライター

小林 遥南

鳥取県内のスーパーでも見かける北村きのこ園さんのきのこ。私は特に、コリコリとした肉厚な食感がお気に入りです!

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