想いの詰まったこの家で|古民家での里山暮らし①

承け継ぐ暮らし のぎ屋 田村 大輔さん

鳥取県倉吉市、車のナビをつけて市街地から少し離れた山道を進みます。道中、見渡す限りのスイカ畑や選果場が。これから訪問させていただく方もスイカ栽培をされているとのことで、ワクワクしながら進んだ先に今回の目的地がありました。

私たちがこの日お伺いしたのは、「承け継ぐ暮らし のぎ屋」の田村大輔(たむら だいすけ)さん。私がSNSを探っている中で、素敵なご自宅で田舎の暮らしを発信しておられる様子を発見し、是非ともお話を伺いたいとご連絡をさせていただいたところ、快く引き受けてくださったのです。

▲田村さんと愛犬のふきちゃん。ご自宅の庭先にて。

鳥取で田舎暮らしを始める

現在田村さんがお住いのご自宅は、元は田村さんのお祖父さまがお住まいだったお家です。現在は、田村さんと奥様、お子様の3人でここに住んでおられます。お祖父さまが生まれた頃に建てられたというこのお家は、築90年の1階建てで、昭和初期の慣習や流行が取り入れられた造りになっています。

お家の中までお招きいただきましたが、 田村さんが住み始めてからリビングやキッチンなどをリフォームされたとのことで、田舎の実家に帰ったような雰囲気と、おしゃれなカフェのような雰囲気を同時に感じられる素敵な空間でした。

田村さんは東京都のご出身。ここがお母様のご実家なので、幼少期には夏休みのたびに遊びに来られていたそうです。東京で大学を卒業し就職したものの、 なんでもお金で買えて用意されたもので生活をする都会での生活や、サラリーマンという仕事に疑問があったという田村さん。2011年の東日本大震災を経験され、「なんでも自分で作って自分のベースで仕事をしていたじいちゃんのように田舎暮らしをしよう」と決意されたのだと言います。

しかし、田舎生活もしたことが無く、移住後に何で生計を立てていくのかも決めていなかったのだそう。そのため、まずは経験を積むために広島県に移り住み、スペイン出身のオーナーが営む古民家レストランに住み込みで働くことを決めます。1年間の期限付きだったこともあり、1年間でそのお仕事から離れ、今から8年前にお祖父さまのお家・現在のご自宅に住み始めたのです。

▲移住後にリフォームをされたというキッチン。木製家具の雰囲気と壁のタイルがとっても可愛らしく、思わず写真を撮らせていただきました。

かつてのこだわりが詰まった家

いわゆる「古民家」にお住いの田村さん。お部屋の数も多く広々としたお家なので、管理なども大変なのでは?とお尋ねしたところ、「大変です。今となってはやる事が沢山ありますね(笑)」とお話しくださいました。

元々屋根についていたというサンヒーターが故障した時にはご自身が屋根に上り修理をしたり、雨どいの修理をしたご経験もあるのだそう。ただ、お祖父さまが大切に住んでおられたこともあり、築90年の建物であるにも関わらず大きくガタが来ているところはないのだとか。

日本独自の「在来工法」で作られているため、お家のいたるところに沢山の工夫がされていることもご説明くださいました。このお家は、大工さんや建築士さんにも褒められたお墨付きのお家なのです。

元々土間として使われていたお部屋は、写真のように壁と天井の間に少し隙間があり煙が抜けるようになっていました。また、壁の色が黒いのは、囲炉裏を使っていたころについた「すす」の色なのだそう。昔ながらの造りと、このお家の歴史を最も感じられたポイントでした。

この他にも、末広がりの「八」で子孫繫栄の意味が込められた八寸の大黒柱や、お殿様が出入りするための出入り口(江戸時代からの文化として引き継いだもの)があったりと、お話を聞けば聞くほど沢山のこだわりを感じ、タイムスリップをしたような感覚で楽しませていただきました。

幸せを感じる暮らしかた

リフォームをされたというリビングには薪ストーブがありましたが、こちらはリフォームを機に田村さんが取り入れられたものなのだそう。

「山があるし、お風呂も薪で温めることがあるので。じいちゃんが薪を作っているのが新鮮で、絶対薪ストーブは付けるぞと思っていました」と田村さん。

また、家の外に出ると、表には山陰地方の地犬である山陰柴犬のふきちゃん、そしてお家の隣には卵を産んでくれるという元気なニワトリたちもいました。

幼少期に見ていた「なんでも自分で作って自分のベースで仕事をしていた」お祖父さまの姿に憧れ、この家に移り住んだ田村さん。お祖父さまが大切にされてきたこのお家で、田村さんご自身も同じようにこのお家を大切にしながら、この場所らしい暮らし方を存分に楽しんでおられるようにも感じました。

そして、田村さんがこのお家に住む上で一番フィットして、幸せを感じられるだろうと思い始められたのが「農業」でした。現在は、家族3人分の野菜やお米を作り自給自足をしながら、「承け継ぐ暮らし のぎ屋」として、夏にはスイカの栽培、冬にはお餅の製造をし、販売されておられます。

次回②の記事では、スイカとお餅を始められたきっかけや想いなどをご紹介させていただきます。

〈家族で営む小さな農業|古民家での里山暮らし②へつづく〉

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承け継ぐ暮らし のぎ屋 田村 大輔さん

家族で営む小さな農業

私たちは、夫婦二人で自分たちの身の丈にあった面積、栽培方法で農業を営んでいます。
目の届く範囲で栽培するからこそ、しっかりと手をかけることができ、心に余裕を持ちながら作物に向き合える。
そうして出来上がった食べ物を、みなさまにお届けします。

ライターのコメント

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ライター

小林 遥南

快くお家へお招きくださった田村さんご家族。あたたかな家庭におじゃまし、のぎ屋さんのやさしい雰囲気に包まれ、なんだかとても嬉しい気持ちになりました。