陶芸家の森さんが8年前から構えている仕事場は、山根酒造場から約1km。
青谷町の古民家を改装して作陶活動を行う森さん。
自分しかない技法を用いた磁器の美を追求し、繊細な濃淡の青白磁を生み出す。
「青谷町の空と海のグラデーションに似ているでしょう」。
空と海の薄水色の交わりに、米と水から生まれた雫が満ちる。
口あたりがとても滑らかだ。
磁器なのに温かみを感じる平杯。
冷酒はもとより燗酒の幸福感が唇から優しくさらりと入り、喉から奥へと染み渡る。
「小さな世界で自分らしさを表す酒器。硬さの中に際立つ柔らかさを表現したい」。
青谷町の山間にて、時には厳しさのある自然に向き合いながら偽りのない日の創作を続けている。
出典:さんいんキラリ 冬号 No.46
さんいんキラリ編集長より
わたしが最も注目している陶芸家のひとりの森さん。日置谷の小さな集落の古民家で作陶する姿は、まるで修行僧のよう。静謐で凜とした作陶場でうまれた青白磁の器は、温もりのある神秘的な美しさを秘めている。