とりのひとマルシェのお野菜便で、新鮮で味の濃いお野菜をお届けしてくださる、やまぐちくんのお野菜・山口 敬司(たかし)さんと裕未(ひろみ)さん。お二人は、鳥取県八頭郡智頭町でお野菜・お米を作る生産者さんです。
私が初めてお二人にお会いしたのは、2022年6月のこと。
以前、地元スーパーで山口さんのお野菜をお見かけして食べたことがあり、ズッキーニがとてもおいしかったことが印象的でした。そのためお会いした時に思わず、
「ズッキーニの方ですよね?!」
と言ってしまい、お二人を「??」なお顔にしてしまいました。
とはいえ、お二人が作られるお野菜は本当に元気そのもの!
6月末の畑では、私の顔ぐらいある葉っぱを広げたズッキーニが全盛期。
その他にも、鳥取東部の地方在来品種である三宝甘長とうがらし、横を通るだけで香りたつバジルなど、様々な野菜たちが「私、食べごろよ」と言っている声が聞こえてくるようです。
▲バジルは香りがとても強く、横を通り過ぎるだけでも良い香りが漂ってきます。
▲こちらは三宝甘長とうがらし。移住して間もなく口にして地方在来種である野菜の美味しさに感動されたそうです。
▲9月にお伺いした時には生姜が、生き生きと良い香りを放ってました。
▲冬野菜の主力選手の長ネギも元気いっぱいです。
からだが自然と欲する、野菜
山口さんの作られるお野菜は、焼いたり、蒸したり、そのまま食べたり。シンプルに食べるとその美味しさがわかります。
私はレタスを食べたときに、独特のエグミがないことに驚きました。また、オクラも種の渋い感じがなくて、なんだか体にスルッと入ってくるような感覚があり、どんどんパクパク食べられます。
▲「多品種の野菜を育てるのが自分たちに合ってるんです。飽きずに色々なことができるので(笑)」と、色とりどりの野菜を育てる山口さんの夏野菜。
山口さんは、お野菜、お米を農薬や化学肥料は使用せずに作っておられます。また、在来種・固定種の作物をなるべく自家採取された種で育てることを大切にされています。
- 在来種…特定の土地の気候風土や環境などに適応し、その地域に根付いている作物。
- 固定種…生育環境に合わせ適応力を持ったものが固定化された作物。また味が良いとか実が大きいなどの理由で、意図的に残してきたものもこれにあたる。(遺伝子組み替えとは全くの別物。)
▲自家採種をして、毎年種を引き継いでいる三宝あまながとうがらしの種蒔きの様子(やまぐちくんのお野菜Instagramより)
▲「よく見ると耳のような形をしています」(やまぐちくんのお野菜Instagramより)
2010年、山口さんは自然の中での暮らし、農業に興味があり、県外から移住されてきました。(移住されて間もなく、ネギ畑でネギ尽くしの結婚式をされたそうです。楽しそう!)
智頭町で農業を始めた頃は、慣行農法(農薬や化学肥料を基準の範囲内で使う一般的な方法)をされていましたが、こんなに自然がいっぱいで、多種多様な生き物が生きる場所で農薬を使ったりするのは何か違うと感じ、使用するのをやめられたそうです。その後は、「自分たちが食べたいと思えるお野菜を作ろう」と日々奮闘されています。
▲畑には落ち葉や腐葉土を近くの山からもらって入れたり、平飼い鶏の鶏糞を土づくりに利用されています。堆肥も与えすぎないように量を考え、その時の土の状態を見ながら入れられているそうです。
小さな生き物たちと共に歩もう
除草剤で草を枯らしてしまうと、厄介者の雑草はいとも簡単になくなります。
ですが、同時に虫たちのすみかも消えてしまいます。
虫たちがいなくなれば、それを食料にしている生き物も消えてしまうーー。そうなるとその後の生物も…と思うと、とても恐ろしい結果が待っているように感じます。
かつて、山口さんは虫や蛙があまり好きではなかったそうですが、今では大好きになったそう。餌となる虫をじーっと待つ蛙の姿はとても可愛く思えるそうです。
「写真を撮ってSNSに載せると、みんなの反響があるのも嬉しいんです」
と言われる山口さんのSNSには、小さな生き物たちがまるで友達のように生き生きと写っていました。
▲カマキリのベイビーたち(やまぐちくんのお野菜Instagramより)
▲「無事に成長してやまぐちくんの畑での活躍期待しております」と山口さん(やまぐちくんのお野菜Instagramより)
▲じっと獲物を待つ蛙くん。(やまぐちくんのお野菜Instagramより)
▲蜜蜂もせっせと働いてくれています。(やまぐちくんのお野菜Instagramより)
6月のこの日も田んぼでは、元気すぎるぐらいおたまじゃくしが泳ぎ回り、畑でも小さなカマキリが獲物を狙っている姿が見えました。
山口さんの畑では、今日も生き物たちがたくましく食物連鎖を繰り返しています。
#鳥取 #作る人 #育てる人
夕食にお二人が作るお野菜が並ぶ時は、いつもお野菜が会話の主役に。お二人の掛け合いのような楽しい会話を思い出しながら笑顔になれる幸せをいただいています。