〈前回の記事はこちら→ 大事なものを守る方法|やさしい味の記憶① 〉
スープ料理家の東條 真千子(とうじょう まちこ)さん。
東條さんがお住まいなのは、日本より遥かに大きな国土を持つアメリカのロサンゼルス。
アメリカの人口は日本の2.6倍以上、面積は約26倍もあるんだとか。
東條さんのブログを拝見していると、日本ではめったにお目にかかれないようなビッグサイズの野菜や、色とりどりの野菜たち、見たことのない形のパスタなどの写真が並んでいます。
国内で過ごすことが多くなっている近年ですが、私は久しぶりに海外らしいものを目にしてなんだか嬉しい気持ちになりました。
▲アメリカのスーパーマーケットに並ぶ、フェンネル(1枚目)とラディッシュ(2枚目)。(東條さんのブログより)
規模が大きい分、たくさんの選択肢があり、それだけ多様な食文化に触れる機会も多いのがアメリカです。
東條さんは日頃からオーガニック食材を取り扱うスーパーマーケットや、農家さんが直売しているファーマーズマーケットで食料を調達。
その食材を使って、日本食を作ったり、アメリカで出来た色々な国の友人から料理を習って作ってみたり。
東條さんはご友人へ手料理を振舞うこともあるそうですが、「料理のバランスが良いね」と褒めてもらうことがあるそうです。
この「料理のバランス」というのが、東條さんが幼いころに過ごしていた鳥取で身についた、「味の記憶」があってこそのものだと言います。
「鳥取は、海のもの、お肉、道の駅などで買える地場の野菜など、何を食べても美味しいものばかり。」
鳥取で過ごしていた幼少期から学生までの間には気づけなかった、鳥取の、そして日本の食の魅力。
「どこの料理もおいしいけれど、日本食は本当に素晴らしい食べ物で、一番好きかも」とお話しされていました。
▲鳥取のお雑煮と言えばコレ。東條さん作の黒豆煮汁ベースのぜんざい。 (東條さんのブログより)
エネルギッシュで、様々なことに挑戦されている東條さん。
好きな仕事をして、遊びの時間のような感覚で料理を楽しんで、好きな音楽を聴いて過ごす。
私はつい、理想的な暮らしですね、と口に出してしまいましたが、様々な苦労もありながら東條さんがご自身の手で掴んだ暮らしなのだな、とも感じました。
東條さんは現在、鳥取の「民藝」にも興味がおありで、以前帰国された際には窯元へ話を聞きに回ったり、器を購入されたご経験も。
素晴らしい器からは、「こんな料理を作ろう」とインスピレーションを受けることもあるそうです。
最後には「今度は自分で料理に合う器を作りたい!」との目標もお話くださり、私はまたその行動力と発想に、感動と憧れの気持ちを抱いたのでした。
▲ご自身で描かれた絵画を飾ったお部屋(右)と、レシピ本や絵本など好きが詰まった本棚(左)。 オンライン取材時にちらっと見えたご自宅の様子が素敵で、お写真を頂戴しました。
■ 東條真千子さんのブログは こちら から
「自分の好きなことをしているので、癒しという言葉はピンと来なくって。」東條さんへのインタビュー時にお伺いしたその言葉がとても印象的でした。
好きなことを暮らしの中へ自然に取り入れていくこと。私にとって大きな暮らしのヒントになりました。