前回の記事はこちら→〈「また帰ってこいよ」と言ってくれる人がいる|笑顔の連鎖①〉
美しい棚田が広がる、のどかな里山。兵庫県北部に位置する、香美町小代区で「スミノヤゲストハウス」を営んでおられる田尻 茜さん。現在は4年目となり、茜さんはその間にお母さんとなりました。
「色々なお客様に抱っこされているので、人見知りがないんですよ。今まで、100人以上には抱っこされていると思います」
茜さんは、そんな風に色々な人に関わりながら子育てできる環境がとても気に入っておられます。
そしてご自身も、色々な人と出会い、色々な文化や考えがあること、それを受け入れることでゲストハウスの運営に面白みが出てきたそうです。
▲以前民宿だった頃の名残の黒板。アットホームな雰囲気が伝わってきます。
元々このあたりは、民宿が多い地域で以前は7軒ぐらいあったそうです。
そのためか、昔から地元の方は、旅行客の方々にとても社交的なんだそう。スミノヤゲストハウスに泊まったお客様が界隈を散歩していると「あー、スミノヤに泊まってるんかー」と、地元の方達が声をかけてくださるとか。
「オープンマインドで旅行客を温かく受け入れてくれる方達ばかりなんです」
きっと、旅行客にとっては何気ない地元の方のお声かけがとても嬉しく、旅の思い出の1ページとして刻まれるのではないでしょうか。
▲『またあおうね!』年に何度か泊まりにきてくれるゲストさん。もはや親戚に思える。(スミノヤゲストハウスのインスタより)
茜さんに赤ちゃんができてからは、夜ご飯などの食事は「共同調理」という方法を取られています。
旅行客の方へ、地元のスーパーマーケットや安くて美味しいお魚屋さんやお肉屋さんをご紹介して、買ってこられた食材を使って茜さんと旅行客の方とが一緒に調理をされたりするそう。お庭でのバーベキューも人気です。
地元の方おすすめのお買い物場所を教えていただけるなんて、なんだかとっても楽しそうです。
▲「のんきや」という可愛い名前のスーパーマーケットも、茜さんおすすめだそうです。
コロナ禍となり海外や県外からの旅行客の方が減ってしまった現在では、地元の方が田植えの後とか稲刈りの後とか、みんなで慰労をするときの場所貸しとしての利用も増えたそうです。
また、中学生の子どもたちが「ちょっと宿題させてー」と、フラっと来ることも。
「たまに誰の家だかわからなくなることがあるんです(笑)」と茜さん。
▲畳の上にお布団を敷いて就寝するスタイルは外国人の方にも人気だそう。
▲レトロなラジオなど、インテリアもノスタルジックな雰囲気です。
「これから、スミノヤゲストハウスをどんなところにしていきたいですか?」とお尋ねしたところ、
「以前、コロナ禍になる前はヨーロッパの方からもたくさん宿泊にこられてたので、海外からのお客様が、また帰ってきてくれたらいいなと思ってるんです。ここに泊まられる方はみんな、いい人ばっかりなんですよ」
人との繋がりがすごいパワーになることを知っておられる茜さんの強く優しい言葉に、たくさんの人が茜さんの元に吸い寄せられるように集まる理由が見えたような気がしたのでした。
▲看板猫のよしこさん。(スミノヤゲストハウスお庭にて)
人のつながりが濃い場所で、新しい出会いも大切にしながら暮らしておられる茜さん。実は、ご夫婦共に狩猟もされるそうです。引き出しの多さにも、とても驚かされました。