〈前回の記事はこちら→ 魔法でモノはできない 人とものを結ぶ① 〉
鳥取駅前にあった店舗から移転され、現在の場所にオープンされたのが15年前。
移転の際に、古い建物を改装して店舗にしたこと、アンティークの仕入れを始められたこともあり「直しながら使う」のがこれからのテーマと確信したそう。
「古いものを直しながら使う」
そのメッセージを発信するために金継ぎ教室やダーイング教室など、教えてくださる方を招いて「お直し」をテーマとしたワークショップも行ってこられました。今では人気の教室です。
▲ダーイング教室のご様子(ブランワークスインスタより)
今は、使い捨てのものがあふれ、すごく便利な世の中になりました。衣類などもそうです。
しかし、靴下やフキンひとつとっても、直しながら最後まで使い切ることで、心の豊かさが生まれるのではないでしょうか。
良い品選びとは、最後までお付き合いできる品を自分自身がしっかりと見極めることなのではないか、とお話をお伺いしながら感じました。
また、石田さんは定期的に地元作家さんや手仕事の道具などの企画展も開催されています。
その思いをお伺いしたところ、
「小さい頃から、作り手と売り手とが共存するのを見てきたから、やっぱり作ったものを売る場所が必要だなと感じるの。ほら、毎日淡々と作り続けることのできる作家さんもいれば、企画展をしたいからと言うとそれに合わせて、一生懸命に新作をご準備してくださる作家さんもいるから。」
石田さんはきっと、お客様と作家さんをつなぐだけでなく、モノ作りをされる作家さんのライフワークも作ってこられたのでしょう。
▲お伺いした時は、「7人のアクセサリー展」を開催されていました。
▲作品を飾るレイアウトも、とても素敵です。
さらに石田さんは、ものを触って、見て、買うー。
その原点でありたい、といいます。
石田さんと他愛ないおしゃべりをしながらモノ選びをする時間、フラッと立ち寄った際に心躍るモノと出会い、そんなひと時がきっと誰かの明日へ、気持ちを上向かせてくれるかけがえのない時間になっているのではないでしょうか。
”作り手と使い手”とをつなぐ石田さんの思いに触れ、もし私が次に何かモノを選ぶときは、ずっと、一生付き合えるものを選ぼうと心に決めたのでした。
《 追 記 》
現在の石田さんは、ポシャギに凝っておられるそう。
ポシャギとは、ハギレを縫い合わせ、裏も表もない一枚の布に仕立てていく韓国のパッチワークです。手縫いも大好きな石田さんは、少しずつ作るのが楽しいと、出来上がったお写真も見せてくださいました。思わず「きれいー」と声をあげてしまうほど、透け感が美しく繊細です。
石田さんのお話からは、愛着を持って長く使う、長く着るーという、モノとの付き合い方のヒントがたくさん詰まっていました。たくさんのモノに囲まれなくても、お気に入りと暮らすことで、自分の暮らしに愛着が湧き、幸せを感じることができるのではないでしょうか。