見えないものに心を配る、生酛造りの酒

梅津酒造

慶応元年(1865年)に創業の梅津(うめつ)酒造さん は、すいか畑、長芋畑など、農産物栽培が盛んな鳥取県東伯郡北栄町に蔵を構えています。

伯耆富士といわれる秀峰大山(だいせん)から湧き出る豊かな水、自然の恵みをいかし創業以来、人情味あふれる、地元に根差した酒造りをしてこられました。

 

 

初代から現在6代目・梅津史雅(うめつ ふみのり)さんに至るまでの150年以上、それぞれの時代に個性あふれるお酒が生み出されてきました。

代表銘柄「冨玲(ふれい)」は、大正から昭和の時代、「フレー!フレー!」という応援の声援にちなんで、三代目の蔵主が名付けられたそう。

▲応援の声援「Hurrah! Hurrah!(フレー、フレー)」が由来の「冨玲(ふれい)」。日本語に訳せば「頑張れ!」「万歳!」という、縁起も景気も良いお酒です。(写真:梅津酒造さんInstagramより)

 

 

酒造りの心技、手間を惜しまず全ての行程を手造り

 

梅津酒造さんは、平成17年度から醸造アルコール添加を一切されていません。「米で造ったお酒が日本酒である」という、ひとつの結論に至り、そこから「米、米麹、水」のみで日本酒をつくられています。

 

「生酛(きもと)造り」もこだわりのひとつです。

生酛とは、江戸時代から明治中盤までは主流だった酒造りの方法。酒蔵で生きている自然の微生物や酵母菌、乳酸菌などが活動しやすい状態をつくって、発酵させる伝統的な醸造方法のことをいいます。

 

顕微鏡などもない時代から、現在の様々な研究が進んだ今でも、ほぼ変わらない造りで経験や勘に頼る部分が多く、時間もかかります。そのため、効率的な方法が確立された現代では生酛造りに取り組む蔵元は少なくなっています。

しかし、蔵に生きている菌と自然界にたくさんいる微生物と戦わせ、強い乳酸菌を取り込んで造る「生酛造り」では、その蔵ならではの複雑な味わいとコクが生まれます。

同じ原材料を使ったとしても生酛造りでは蔵ごとに全く味わいが違う、といわれるのもそのためです。

菌たちのいのちが織りなす営みそのものが日本酒となっている――、そう思うととてもワクワクしますし、不思議で楽しいですよね。

一途な姿勢から生み出される強い個性の日本酒に、たくさんのファンがいるのも納得です。

▲手作業で行われる、蒸した酒米を冷ます作業・醪入れの様子 (写真:梅津酒造さんInstagramより)

 

 

限られた地域でしか育たない梅で仕込む「 良熟梅酒 野花 」

 

梅津酒造さんで人気の梅酒「良熟梅酒 野花(のきょう)」もたくさんのこだわりが詰まっています。

梅には、東伯郡湯梨浜町の野花地区周辺の限られた地域にしか育たない野花梅が使われています。

漬け込む日本酒も米と米糀だけで仕込まれたもの。そこへ甜菜糖、梅を入れ、2年以上じっくり漬け込み熟成させます。こうして造られる「良熟梅酒 野花 」は、日本酒の米の旨みも加わり、まろやかで香りも豊か。若い世代の方にも飲みやすく大変人気があります。

 

▲肉厚で大玉な野花梅。エキスがたっぷり出るのが特徴です。ただ雨などでも実が落ちやすく、管理が難しいため農家さんのご協力が欠かせないそうです。 (写真:梅津酒造さんInstagramより)

  

 

お酒と人とが繋がる酒蔵

 

北栄町にある蔵元をお訪ねしたことがあるのですが、お酒選びで迷っていた私にも「どんなお酒が好きですか?ほかの蔵元のものでもよいので、気に入った日本酒はありますか?」など、とても親切にお声かけしてくださり、少し敷居の高いイメージのある、蔵元さんでのお酒選びがとても楽しかったです。

 

情緒あふれる建物は、独特の香りが漂っていて凛とした空気が心地よく「目に見えない何か」のあたたかい気配が感じられる気がしました。

ぜひお近くにお立ち寄りの際には、寄ってみられてはいかがでしょうか。

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梅津酒造

住所:鳥取県東伯郡北栄町大谷1350番地

ライターのコメント

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ライター

柳田 洋子

梅津酒造さんでは、日本酒の他に砂丘いも焼酎、柚子酒など地元の産物を大切にした酒造りをされています。地域と共にある酒蔵の歴史を感じます。

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