用の美を追い求めて|知恵と技の日用品②

lore + needles 濱口 恵実さん

前回の記事はこちら→生きた証を作品に|知恵と技の日用品①

  

鳥取県八頭郡智頭町にある革工房、lore + needles(ロー・アンド・ニードルズ)の濱口 恵実さん。

簡素で飾らない、使うたびに美しくなる濱口さんの作品は、チョンチョンとアクセントのように縫いが施されて、一目でロー・アンド・ニードルズの品と分かります。

 

▲簡素で飾らないデザインの、包 – tsutsumu – シリーズ 小財布 牛ヌメ革

  

  

民藝の哲学を作品に

  

「デザインは、どのように考えられているのですか?」とお伺いしたところ、濱口さんから民藝の考え方を取り入れているとの、答えが返ってきました。

民藝とは、「民衆的工芸」の略語です。日常生活の中から各地の風土に合わせ、職人の手で生み出されたもの。生活に根ざした道具のことを民藝品と呼び、名もなき職人たちがずっと受け継いできた、いわば日本伝来の手仕事文化です。

  

  

 

▲型取りした革に、糸を通す穴を木槌であけていきます。ドンドンとリズミカルな音が工房内に響き、迷いなく均等に穴が開いていきます。

  

  

 

▲穴にひと針ずつ糸を通し丁寧に縫い合わさせていきます。1枚の革が、折り紙を折っていくようにだんだんと形になっていく姿はとても美しく感じました。

  

  

「例えば、昔から使われている竹ザルは、長く使うことを考えて使いやすさだけでなく、直しやすさも考えられているんです。必要な部分だけ、留めている。そう言った日常品からアイデアをもらっています。」と教えていただきました。

私の実家でも、祖母が普段使いしていた竹ざるが壊れた時に、竹の皮を剥いできて、ちょちょいと直していたのを思い出しました。

 

▲昔ながらの竹ざる。修理しながらつないでいく日用品は、使いやすさだけでなく直しやすさも考えられています。

  

 

太陽との共同作業、柿渋染め

 

また、濱口さんの作る「柿渋染め」の作品も昔ながらの知恵と技が生きています。

何も塗っていない、いわばスッピン状態のヌメ革は、使い初めに水シミが目立つという難点があります。使うほどにシミも馴染み、気にならなくなるのですが柿渋染めを施しておくと、使い出しからシミが断然目立ちにくくなります。昔の和傘は、和紙に柿渋を塗って撥水をさせていました。柿渋には、水をはじき、傘を丈夫にする効果があるそうです。

 

▲柿渋染めは、太陽との共同作業です。

  

夏は、1週間から10日。それ以外の季節で太陽の光が柔らかい季節は、2週間くらいかけて、毎日柿渋を塗っては乾かしを繰り返すので、その回数は10回から14回!その間は天気と睨めっこです。

 

「すごく手間がかかりますね。」と、思わず口にしてしまった私に、

「手間かかりますよね。でも、それがやりたくてやっているので。」

と、笑顔でお返事が返ってきました。

一般的には、染料で染めても同じような色合いが出るそう。化学染料で染めることが一般的ですが、それだと柿渋染のような撥水性は出ません。濱口さんの作品は、見た目だけではなく使い込むことを前提として作られます。

 

  

用の美を目指して

  

「民藝は簡素で飾らない、普段使いできる日用品。使いやすさをすごく追い求めたもの。昔から、何度も改良しながらつないできたものなので、道具としては究極なんです。」と濱口さんは言われます。

革は強さもあるし、柔軟なので、使い手と用途によって経年変化が楽しめます。そこで、濱口さんは民藝と革を合わせることで、面白い表現ができるのでないかと確信したそうです。

先人たちが10年、20年と使い続けることを考え受け継いできた「用の美」。

濱口さんは日々真剣に革と向き合いながら、先人の知恵を借り、伝来の方法を受け継ぐことに挑戦をされています。

 

使い手と使う用途に馴染む、ロー・アンド・ニードルズの日用品。

20年、30年と使い続け、その間に濱口さんの直しが加わり、また新たな息吹をもたらすー。

そんなふうに想像すると、とてもワクワクしませんか。知恵と技が生きた日用品、ぜひ後世に繋げていきたいです。

 

▲最後に、濱口さんご夫婦が実際に使用されているお財布を見せていただきました。素敵に育ってますよね。これから先、どのように変化していくのか、とても楽しみです。

 

 ▲lore + needlesさんのブランドムービーです。濱口さんが真剣に作品に向き合っておられる姿がとても印象的な映像です。

 

 

とりのひとマルシェ

lore + needles

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ライターのコメント

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ライター

柳田 洋子

洗練された作品と、濱口さんの自然でやさしい雰囲気にすっかりファンになっていました。憧れの女性です。

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